湿地や河川の源流部などをすみかに、日本で46種の生息が確認されているサンショウウオのことを知ってほしいと、NPO法人「北九州・魚部(ぎょぶ)」(北九州市小倉北区)がムック「特盛山椒魚本」を発行した。全ページカラーで写真をふんだんに使い、研究者から小学生までの多彩な執筆陣が様々な角度からサンショウウオの魅力を伝えている。
サンショウウオの生息環境は厳しい。日本に生息する多くの種が絶滅危惧種に指定されているうえ、開発などで年々、すみかが失われている。
水辺の生き物のことを調べて書物などにまとめてきた魚部は、サンショウウオの魅力を多くの人に伝え、生息環境についても考えてもらいたいと、不定期発行の雑誌「ぎょぶる」の特別編集版として山椒魚本を作った。
種ごとに写真や生息地を紹介する「図鑑編」と、生息状況や環境、サンショウウオを愛する人々の悲喜こもごもがつづられた「読み物編」の2部構成になっている。
細長くヌメヌメとした体に四つの足、クリッとした目。図鑑編で愛らしいサンショウウオの姿をたっぷりと眺めたら、読み物編へ。
50メートル先は海という海岸部の沢に生息する種の話。産卵のための巣穴を守り、卵からかえった幼生が育ちやすくなるような行動を取るオスのオオサンショウウオのイクメンぶり。知られざる生態が紹介されている。
昔の目撃情報を頼りに五島列島の奈留島(長崎県五島市)にオオサンショウウオを探索するドキュメントや、屋外プールでサンショウウオを発見した小学生が「なぜ、プールにいるのか。助けるための方法は」を考えた記録など、内容は多岐にわたる。
一方で、読み進めるうちに、厳…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル